小林家の妻のリズム(@rizuko21)です。
妊娠8カ月に入り、おへその形がシジミのように縮れてきました。でべそになる日も近いかもしれません。
今から3か月前。ちょうど妊娠5カ月の安定期に入った頃に産婦人科から連絡がありました。内容は「血液検査の結果が出た。トキソプラズマの項目で陽性反応が出たので、大きな病院に言って精密検査をしてほしい」というもの。
トキソプラズマ陽性反応、しかも再検査と言われてギョッとしてしまいました。どんなに調べてみても「本当に無事に赤ちゃんが産まれてくれるの?」と不安になるばかり。というのも、トキソプラズマに関する専門医も少なければ、ネットで調べても再検査になった人の情報も少ないんですよね。
というわけで、ここでは私が体験したトキソプラズマ陽性反応が出てから出産に至るまでをご紹介します。ざっくりとした体験談ではありますが、トキソプラズマ陽性で心配になってしまった人のお役に立てれば嬉しいです!
目次
「トキソプラズマ陽性」ってどういうこと…?
トキソプラズマは、生ハムや猫の糞などに含まれている小さな寄生虫のこと。だいたい3人に1人がトキソプラズマに感染していると言われています。次のような習慣のあった人たちは過去にトキソプラズマに感染しているケースも多く、検査で陽性反応が出ることもあります。
- 猫を飼っている(外に出したことのある野良猫)
- 生肉をよく食べる
- 海外渡航歴がある
- よく土あそびをしていた
1年以上前にトキソプラズマに初感染したのであれば問題ないのですが、初感染が妊娠中だった場合は、お腹の赤ちゃんに感染し「先天性トキソプラズマ症」を引き起こす可能性があります。
先天性トキソプラズマ症になると、赤ちゃんへ影響すると言われています。具体的にどんな症状があらわれるのかというと…
- 脳症
- 低出生体重
- 水頭症
- 視力障害
- 頭蓋内石灰化
などなど。妊娠中に生ハムやレバー、馬刺しなどを控えるように言われるのは、このトキソプラズマに初感染しないようにするためです。
トキソプラズマは一度感染すると再感染することはないといわれているので、感染したのが妊娠前であり、すでにトキソプラズマの抗体を持っているのであれば赤ちゃんに影響はありません。むしろ、妊娠前に感染し抗体を持っていたほうが妊娠中に初感染することがないので、先天性トキソプラズマ症になるリスクが少ないと言えます。
トキソプラズマに関しては産院によって検査する病院もあれば、検査しない病院もあります。私の場合は血液検査の項目に含まれていました。産院では2度トキソプラズマの検査をしました。参考までに私の数値を載せておきます。
トキソプラズマ再検査の基準値と数値
●1回目(最寄の産院):血液検査で陽性反応
トキソプラズマ抗体 IgG 基準値6未満→私の場合:66.6(陽性)
1回目の検査では、母体がトキソプラズマの抗体を持っているのかどうかの検査を行います。この検査は単純に「トキソプラズマに感染したことがあるのかどうか」を調べるものなので、陽性反応が出る人も多く、特に心配しませんでした。
●2回目(最寄の産院):再検査で陽性反応
トキソプラズマlgM 基準値0.8未満 →私の場合:1.4
再検査したところ、2回目の検査でも陽性反応が出てしまいました。lgMの基準値が高いということは、トキソプラズマにかかったのが妊娠中の可能性もあるということ。私の場合は基準値よりも数値が高かったため、専門の病院でトキソプラズマに感染したのが妊娠前なのか、妊娠中なのかを調べてほしいと言われました。
専門の病院は東京大学病院を紹介されました。病院から連絡をもらってすぐに夫に電話をかけました。




妊娠当初からトキソプラズマについて簡単には調べていたものの、「まあ、引っかかったら考えればいいや」くらいに考えていました。
実は、妊婦のうち約3%しかトキソプラズマ検査に引っかからないそうです。(だいたい年間に出産する妊婦が100万人いるので、引っかかるのはそのうちの3万人くらい)。そんなわずかな確率なので自分が引っかかるなんて考えていなかったのです。
とはいえ、検査項目に引っかかった3万人のうち、実際に赤ちゃんに影響が出るといわれているのは30人だとか。確率的にはかなり低いと知り、少し安心しました。ただ、そこまで稀なケースだと産婦人科医のなかでもトキソプラズマに詳しい人が少ないようで、診てもらえる病院は都内でもほとんどありません。
トキソプラズマ陽性の精密検査を東大病院で受ける
今までは、トキソプラズマの検査といえば(都内在住の場合は)三井記念病院で行われることが多かったようです。しかし、三井記念病院でトキソプラズマを専門としていた先生が最近退職されたそうで、東京大学病院での検査を勧められました。
診てもらえる病院が少ないこともあり、ネットでは病院の予約に1カ月待った…なんてことも書かれていたので即東大病院に連絡したところ、2日後に予約を取ることができました。実際に行って見ると東大病院は待ち時間が非常に長く、しかも担当医が毎回変わるので本当にストレスでした…。(笑)
また、東大病院で診てもらっても、トキソプラズマに関してきちんと説明してくれる医師がおらず、結構な不信感が募りました。というのも、後から知ったのですが実は診てくれた医師たちはトキソプラズマの専門医ではなかったのです…。(トキソプラズマの専門的な知識を持っている先生は東大病院にも1人しかいないらしい)。
トキソプラズマ感染予防の薬を処方される
詳しい説明もないままにトキソプラズマの母子感染を防ぐようにとアセチルスピラマイシンというオレンジ色の薬が処方されました。

実はこの薬、保険適用外で月に6000円弱かかります。(高い!!)
※2019年4月現在は、この薬も保険適用になり安くなりました!
しかも珍しい薬のようで、家の近くの処方箋薬局では取り寄せるのに時間がかかりました。(待ち時間は長いですが、確実に手に入る東大病院近くの処方箋でもらうほうがオススメです)。
妊娠中でも早い段階からアセチルスピラマイシンを服用しておくことで赤ちゃんへの感染を60~70%低下させることができるそうです。
- 薬の飲み方
薬は朝2錠、昼1錠、夜2錠、寝る前1錠と1日に6錠飲んでいました。3週間飲み続けたら2週間休薬します。(ちなみに薬の飲み方は年齢や症状によっても違うようです。
- 薬の副作用
アセチルスピラマイシンの副作用は軽く、妊娠中でも安心です。人によって吐き気や食欲不振、軟便、下痢といった症状が起こるようで、私は飲み始めた頃に何回かお腹を下しました。(でも妊娠中は便秘になりやすいのでお腹をくだすくらいがちょうどよかったり…。笑)
トキソプラズマ陽性:検査の最終結果
結局東大病院へは3~4回ほど通院し、毎回採血をしました。「アビディティー」といってトキソプラズマの抗原と抗体がどれくらい結合しているのかを検査するのですが、広島にある病院でないとこの検査結果が出ないそうで、結果を聞くまでには1カ月ほど時間がかかりました。
そしてわかった最終的な検査結果は…

というもの。アビディティ―(抗原と抗体の結合率)の数値が50%以下と低ければ、トキソプラズマの抗原と抗体が結合しはじめたばかりなので妊娠中の感染の可能性があります。反対に数値が高ければ妊娠よりも前に感染した可能性が高いそうです。
私の場合はアビディティ―が52%。グレーゾーンではありますが、ほぼ問題ないとのことでした。(※トキソプラズマの臨床データはまだ少ないため、まったく問題がないとは言いきれないそうです)。
薬は特に大きな副作用もないため、心配であれば臨月まで飲み続けてもいいし、飲み続けなくてもいいと言われました。
もともと近くの産院で出産を希望していたので、これで東大病院とはおさらば…!改めて東大病院の専門医に紹介状を書いてもらい、これまで通っていた産院に戻ることができました。
出産予定日まで数十日ですが、体重管理に気をつけつつ挑みたいと思います!
追伸:無事に出産しました!

トキソプラズマ検査に引っかかり、処方された薬を飲んでいましたが2017年10月に無事に元気な娘を出産しました!娘の体重は2,570gとやや軽めでしたが、体重が軽いこととトキソプラズマ陽性だったことは特に関係ないようです。ちなみに薬は臨月までは飲まず、妊娠9カ月頃までしか飲んでいませんでした。
夜明けに陣痛が始まり、病院に着いてから2時間ほどで出産するというスーパー安産。その後、子どもの検査もしましたが問題は見つかっておらず健康です。今から考えるとお金と時間をかけたので「トキソプラズマに散々振り回された」と思うところもありますが…。(笑) まあ無事に産まれてなによりです。